医療法人社団 北つむぎ会 さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック [北海道札幌市]

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院長のよもやま話

閉経後の散歩は乳がんリスクを減らす

更新日:2011年01月01日

1日30分から1時間歩くことで肥満予防にもなる

今年は例年にない大雪で歩道を歩くにも注意が必要ですね。つるつる道路でケガをしたという話も良く聞きます。皆さまもどうぞ気をつけて歩いてください。

さて、今回は閉経後の歩行は乳がんリスクを減らすというお話です。米国のナース12万人以上が参加して行われた研究です。1986年から2006年までの20年間を追跡したところ、4782例の浸潤性乳がんが確認されました。研究開始時点での身体活動と乳がんリスクに関係は見られませんでしたが、閉経後に週のウォーキング時間を1時間から3時間以上に増やした女性では、ウォーキング1時間未満の女性と比較して乳がんの発症リスクが10~ 15%低下していたとのことです(米国内科学紀要2010. 10より)。若いときにあまり運動していなくても閉経後に毎日散歩する習慣を身につけると乳がんにかかりにくいといえます。朗報ですね。日本でも小規模研究ですが、週2回以上健康のための運動を行うと運動をしないグループに比べ乳がん発症リスクが低下することを明らかにしています(Cancer Sci2003より)。今回は米国で大規模な集団でこれが確認された形です。

閉経後の肥満は乳がんの強い危険因子です。ですから閉経後に週3~7時間歩くことで肥満予防にもなり、一石二鳥の効果があるといえます。果物や野菜、特に大豆製品を十分に摂取す
ることは乳がん予防となりますので、運動に食生活改善を組み合わせれば乳がんを高い確率で予防すると思われます。逆に高脂肪・高カロリーの食事で運動をせず、閉経後の肥満が続くとイ
ンスリン抵抗性がもたらされ、細胞増殖を引き起こすインスリン様成長因子(IGF―1)が乳がん細胞を増殖させる可能性も指摘されています。
 
1日30分から1時間しっかり歩く散歩、これが重要です。長続きするよう工夫してみてください。特に冬は運動不足になりがちです。歩行時間は減っても室内でもいいので続けてみてください。